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January 30, 2005

コーカサスの白墨の輪@世田谷パブリックシアター

ブレヒト作 串田和美演出、出演。
その他の出演者 松たか子 谷原章介 毬谷友子 その他様々な国籍の役者さん方
場所は世田谷パブリックシアター

入り口のところで舞台衣装と同じようなコスチュームのおねーさんがお出迎え。よく観ると劇場内に散らばるスタッフの人たちも同じような衣装を着ていて、劇場全体がひとつの街のような雰囲気をかもし出している。この衣装、デザインがワダエミさんなんですよね(最近では映画のLOVERSとかHEROとかの衣装をデザインしたひと。)。コーカサス、という言葉から感じられる外国っぽい感じを出しながら、素材は何となく日本の民芸的、懐かしい色。

ハムレットで来た時とはまた違い、舞台を客席が囲むスタイル、言うなればすり鉢の底のところが舞台…底を通り抜けて向こう側の客席に移動しているお客さん達もいるし…舞台の上で役者さんたちがパンフレット売ってるし(笑)…初めて見たよ。役者さんが舞台の上に少しずつ、わらわら出てきてまだお客さんも残っている舞台の上には、松さんも谷原くんもいる。なんだか市場のようだ、と思っていたら串田さんと進行役の役者さんの掛け合いをアイズのように芝居が始まった。都市を治めていた知事が暴動によって殺され、残された知事の妻は逃亡先にどの衣装を持って行くか、にかまけてうっかりまだ乳飲み子の息子を置いていってしまう。その赤ん坊を押し付けられて逃げているうち二情がうつってしまい育てる為に苦労をする娘(松たか子)の話を縦糸に、ひょんなことから裁判官に祭り上げられたいい加減な酔っ払いの主計官(串田さん)の話を横糸に物語が展開していく。ちなみに谷原くんは松たか子の恋人の兵士の役。

前半1時間25分、休憩を15分挟んで後半1時間40分。正直なところ、前半はややきつかった。台詞がストレートでない遠回りな物言い、という所ではこの間のメルスといい勝負。さらに、ところどころで挟まる海外の役者さんの日本語での台詞や、群唱のような部分が時として聞き取りづらく、個人的には冗長な感じが否めなかった。その中でも松たか子の存在感はさすが。SHIROHと違い、ミュージカルといっても歌が合唱と、特定の個人の歌に限られており、誰でも歌うわけではなかったので質はある程度キープされていたのだけど、彼女のちょっとひなびた感じのある強い声が異国の話によく合っていた。
後半は前半より長いのが嘘のように一転してテンポが良い感じ、長さを感じなかった。クライマックスは知事夫人が知事の相続財産目当てに今さら現れ捨てていった息子の母親だと名乗り出て、子供を渡したくないグルシャ(松たか子)との間で裁判になるの。そして、輪の中で子供を引っ張り外に引っ張り出した方が勝ち、というどこかで聞いたような話になるのだけれど。

今回一番腑に落ちなかったのがこの部分なのよ。グルシャ@松さん ほとんど引っ張りもせず、一瞬のうちに手を離してしまう。二度目を促されてそれも同じような感じでさっさと手を放す。 まあ、母にも母代わりにもなったことはありませんので偉そうなことはいえませんけれども、最終的には子供が不憫で手を離しても、その結果次第で子供と別れ別れになってしまう可能性が濃厚であればやっぱり最初は子供の手を引っ張りあってしまうのではないかしら?
二人の母親が子供の親権をかけて手を引っ張りあい、手を離したほうに本当の母親だという審判が下される話、というのは結構たくさんあってあたしは最初は古代の王ソロモンの逸話として知っていて、後に読んだ落語の本で大岡越前だか遠山の金さんだかの逸話でもやっぱり同じようなものがあると知ってびっくりしたものだ。さらに確か、その両方ともで「子供が痛がるのを見かねて手を離した母親が親と認定される」と言う話だったと思う。だからちょっと今回の淡白さには不満だった。

最後は民族音楽めいた音楽に合わせてフォークダンスのような締め。出演者が次々誘いに来るのだけど、前に出て踊るのはちゅうちょする人が多い中で、松さんと谷原くんに誘われた人々はほとんど断わらずにダンスに参加していたのはなんだか微笑ましかったですよ(笑)。

松たか子と毬谷友子はもちろんうまかったのだけど、他に印象に残ったのがゴスペルのような歌を歌った、ミカエルの乳母(他なん役かとともに)をやっていた女の人が凄くいい声でびっくり。月並みだけどちょっと鳥肌が立ちそうな歌でした。あと、谷原くん 今回初舞台とのこと。演技はまだまだ、という感じではありましたがよくとおる声が印象的でした。トータルではなかなか面白かったです(楽しい、と言うよりは興味深い感じでした) 今日が初日、これからどんどん進化してほしいなあ…多分もう観られないけど。

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Tracked on February 14, 2005 at 12:09 AM

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