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March 14, 2005

ふたたびTRUTH

あ、いまさらですが思いっきりネタばれで無駄に長くて支離滅裂なので観た方で読みたい方だけどうぞ(←本当にいまさらだな。)

初演から気になっていたラストなんですけれどもやっぱり気になる。…と思いつつ何の気なしに某巨大掲示板を見たら同じような話になっていて笑えたんですけれど。
やっぱりあそこは「俺も逃げるからお前も逃げろ」だと思うんですよね…「俺も生きる、お前も生きろ」であるならば。だってさ~藩邸に戻ったら弦次郎は普通に考えて死罪だよねえ?よくて切腹、下手すると斬首。とりあえず人ひとり殺しているわけだし、いかにはめられたとはいえ正直に言うとすれば「横溝さまを殺すつもりが顔を見たら英之助でした。」なんて言えるはずがない。しかも、横溝、山岡が牛耳る藩邸でですよ?林さまなんて建白書を出しただけで切腹なのに、自分を暗殺しようとしたやつをどう転んでも生かしてはおかないだろう、と。仮に鏡吾が弦次郎の言葉で心を変えた、としたならば(実はその辺もちょっと疑問なんだけど) 山岡ー横溝にとって秘密を知っている鏡吾も同じくらい邪魔なわけだし、二人して闇に葬られて終わり…というパターンになりそうなんですけど…うーむ。
やっぱりこれは二人して違う方向に逃げるか(弦次郎は初音つきで)、あるいは少なくとも上田に向かって藩の人たちを説得する、というのが妥当だと思うんですよ。再再演の折はぜひご一考を?成井さん(笑)

で、初演の際はかなり隼助モードで見ていたわけなんですが、今回はどうも隼助さんに感情移入できなかったので(繰り返しますが、細見さんのせいではなく私の個人的な好みの問題です。)割と客観的に観ていたんですが 今回一番印象が変わったのは鏡吾かなあ。今回は「初演の隼助さんつながり」でMさんとご一緒してお茶までつきあっていただいたんですが、やっぱり鏡吾の印象が変わったとおっしゃってました。初演は鏡吾の裏切りが何だかすごく唐突な感じだったんだよね…あんまり唐突だったので利己的で身勝手なイメージが強く、好きじゃなかったんですよ。でも、今回は鏡吾が変わっていかざるを得なかった苦悩や、どろどろしたものが感じられてかなり鏡吾寄りで観ていました…まあ、結末知っているからかもしれないけどさ。

舞台で演じられている話の中ででも、鏡吾にとってなんどか、転機となりうるところがあったような気がするんですよ。
ひとつは横溝様を斬る、というのでみんなで集まったとき鏡吾がいろいろ調べてきた、といって(まあ嘘かもしれないけれど)報告するじゃない…普通に考えればいや、鏡吾お手柄!ってところなのに、本人がまだしゃべってる時に「弦次郎殿のお考えはどうですかっ」だよ、全く。さらに身分に対する屈託を吐露しても何だか結果的に思いっきりスルーだし。そりゃ、毎日聞かされている身になればまたかよ…でうんざりするのかもしれませんが、それにしたって「仲間だ」とか言っている割にはあまりに冷たいんではなかろうか。
英之助を弦次郎に切らせる直前に (横溝を斬る)と思っている弦次郎に向かって「俺に(横溝を)斬らせろ」というシーン。うちの妹あたりは「これは口だけでもし、斬れと言われたらここは何とかごまかしてほかの手立てを考えたのでは」という意見なのですが、あたしはやっぱりここはひとつの肝だと思うんですよ。ここで弦次郎に積年の思いを訴えて、わかってもらえれば何か変わるかもしれない。もともと、みんなのところで初めて真摯に思いをぶつけて「俺に斬らせろ!」っていったのに、スルーされた、その思いをもう一度だけ表に出すことで何か変わるかもしれない…弦次郎さん、本人の意図はどうあれ結果的には再びスルー。「父上とお前とは違う。(藩のために働くなら)別の道を探せ」。別の道って?…弦次郎としてはそれなりに暖かいものをこめているつもりなのかもしれないけれど、受け取るほうにはかなり空虚ですよね。ここのやり取りが違っていたら、せめて「お前にはこれをまかせる」みたいなものでもありさえしたら…でも、この時点では弦次郎としてはあとは英之助に任せるつもりだったと思われます。じゃあ、鏡吾って結局なんなの?って本人じゃなくても思うもの。

そういう風に考え出すと、本当に仲間のひとことひとことが刃なのよ。クライマックス近く、弦次郎の手紙によってだましたのは鏡吾の方だった、とみんながいとも簡単に認識を変えるあたりもそうだし、さらに「殺し合いをすれば鏡吾の思うつぼだぞ」とか「こいつらを売って何を手に入れるつもりだった」とか帆平先生、かなりひどいよね。確かに、これがすべて鏡吾の狂言だったのは事実だし、いろいろな疑念の積もり積もった上で結局正しいのは弦次郎、という確信につながるのかもしれないし、それは鏡吾自体もうすうすわかっているのかもしれないのですが、それでも結局「こいつらにとって俺はやっぱり本当の仲間ではなかったんだ」という負の結論につながっても仕方がないと思う(←日本語としてわかりづらくてすまん)。「何で俺を疑うんですかっ!!」と必死で訴える鏡吾に哀れを感じました。

TRUTHって鏡吾が悪役じゃないと、最後の印象が全然変わってきちゃうんですよね。だってさーこのラストって救われるのは弦次郎だけなんだもの(苦笑)、というのは英之助が見えているのは弦次郎だけだから。これは初演版のビデオを見たときにも感じたことで、その時はまだ鏡吾がただの勝手な奴だったので、「隼助だって、他の仲間だってこれから重いものを背負っていかなければいけないのは同じなのになあ」と思っただけだったのですが 今回は鏡吾よりでみていたので、何だか辛いラストでした。最後の最後まで一度として顔を上げなかった鏡吾。そもそも「歯を食いしばって生き抜くんだ」と言われても、これまでの人生だって鏡吾としては歯を食いしばって生きてきたわけじゃないですか、鏡吾さんとしては。「やっぱりわかっていなかったんだ」って言う落ちなんですかね?これ。

まあ、それでもTRUTHってやっぱり好きなんですよね、私としては。時代物が好きだから、とか殺陣があるから、という単純な理由もありますが「鏡吾の気持ちに気がつかない仲間たち」とかそういうもろもろのことも含めて(笑)、あの誰もが国を変えられると信じていた時代の熱さや高揚感を感じられるし、出てくる人それぞれの「TRUTH」を描こうとした物語でどこに目を向けるかで印象がだいぶ違う物語だから。この間の「新撰組」でもそうですが、それまで閉塞感の強かった階級社会のほころびが見えてきた中で、誰もが「何かやれるんじゃないか」という夢が見られた時代。
その意味では初演の帆平さんが「TRUTH」という言葉について語るときにそれぞれを指差して「誰にでもそれぞれのTRUTHがある。お前にも…お前にも…お前にもだ。」というところは省いて欲しくなかったな。それが最後の「それがお前のTRUTHか?!」「俺には最初からそんなものなかった」というせりふに通じていくと思うので。

そのうちまた好きなシーン、とかについて書いたりするかもしれない(^^;)

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