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June 10, 2005

娘は娘 @アガサ クリスティー

ハヤカワ文庫
クリスティが別名義で書いた、人が死なない、ミステリーではない作品のひとつ。
夫を早くに亡くし、女手ひとつで娘を育ててきた家庭的でつつましやかな母親が娘の不在中に恋をするのね。相手も不器用な人なんだけど、あっという間に結婚話にまで進展し、もうあとは娘に紹介するだけ、と言うところにまで行ったのに、帰ってきた娘は彼が気に入らない。それどころか「母親のために」この結婚を妨害しようとし、結局娘と婚約者の不仲に切れた母親は婚約者に別れを告げてしまう。

二年後、母は別人のように派手な生活を送っていた。娘は悪い男と結婚し、堕落していく。かってとても仲の良い親子だった二人は今でも表面上は仲が良い親子であったが果たして…と言うお話。

アガサ クリスティの小説はミステリーであろうとなかろうと、出てくる登場人物がちゃんと描きこまれてて好きです。個人的にミステリーのポイントは1に登場人物2に動機…トリックなんつーのはある意味どうでもいいので。だってさー、犯罪おたくでもない限り、やっぱり被害者に対する犯人の憎悪の深さがないと、そうそう人は殺せないだろう、と思うのだ。あ、うっかり殺しちゃってそれをカバーするために悪あがきする、って言うのは別ね。
クリスティは人間の見方が時々どきっとするくらい辛辣なところがあるのですが、このミステリーじゃない一連の小説は殺人などの道具立ての派手さがない分そういうところがよく出ている気がするわけです。
実の母親と娘って、血が濃い分、似ている分微妙なところってあるからねえ。

ただ、ある事件を境にしての母親の変貌ぶりがあまりに唐突過ぎる気がして、あたしは前に読んだ「春にして君を離れ」の方が好きです。どちらも「愛」を理由にしての干渉が澱みを育てていく点ではある意味よく似ていますが。

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Comments

 「君はひとりぼっちだ。これからもおそらく」
メアリ・ウェストマコット著の『春にして君を離れ』
も一度読もうと思って、本棚を探したけども見つからない‥
確か鴻上尚史の恋愛王で推奨されてて読んだんだよな
ノドに刺さった小骨のように、こゝろに引っかかるコトバ
むぅ。 きーにーなーるー    >ブクオフにいくか?!

Posted by: ホンダ | June 22, 2005 at 09:24 PM

おや、意外なところに読者が(笑)
ラストがね、ある意味衝撃的だった。「気がついて」めでたしめでたし、かと思ったりもしたから。そうじゃないところが深いなあ、とじわじわ来ましたね。ブクオフにそうそう出回る本でもなさそうだが。

Posted by: EM/蒼 | June 24, 2005 at 11:16 PM

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