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February 19, 2006

クラウディアからの手紙

久々の世田谷パブリックシアター。余裕をみて出たはずだったのに、電車の中で本を読んでたら乗り過ごして最後は知って席についた瞬間に開演と言う危ない橋(苦笑)。
まだ暗い舞台に、次々に役者が出てくる。全員が揃ったところで物語が始まる。

「クラウディアからの手紙」 
出演 佐々木蔵乃介 高橋恵子 斉藤由貴 すまけい他

<あらすじ>
第二次世界大戦中、蜂谷弥三郎(佐々木蔵乃介)は健康上の問題で軍に行けず、朝鮮半島で事業を営んでいたが、讒言によって身に覚えの無いスパイ容疑で連行され、必死に否定したにもかかわらず、有罪を宣告されシベリアへ10年の流刑が決定する。零下50度のシベリアで苦労しながらも何とか生き延びるが他の日本人が帰国を許された後も帰国を許されず、常に当局に監視され、周囲からは日本人のスパイと差別される毎日を送っていた。そこで同じように無実の罪で収容所にいたロシア人女性クラウディア(斉藤由貴)と出会い、一緒に暮らし始める。それでも日本への想いは断ちがたく、密かに日本語を忘れないように練習をするなどしていたが一向に帰国が認められる気配は無く…諦めかけた頃にソ連が崩壊、帰国の望みが出てくるとともに朝鮮で生き別れた妻久子(高橋恵子)と娘が無事に帰国し、未だ健在で彼の帰りを待っていることがわかる…。

斉藤由貴ちゃんは「君となら」以来本当に久しぶり。蔵乃介さん、実は初見だと思ってたんですが「VAMP SHOW」で観てました。余談だけど、このVAMP SHOW 密かにすごいメンバーでした。他にも堺雅人さん、河原雅彦さん、手塚とおるさん、橋本潤さんってのは新感線のじゅんさんですか?そして、伊藤俊人さん(←が目当てだった)…って話すと長くなるのでこの話はいつか改めて。

実話を基にしたストーリー。
戦争の怖さは、戦闘で多くの人が亡くなる、というのはもちろんだけど生きながらえた多くの人の人生にも大きな傷跡を残すこと。戦かった歴史は遥かに前でも、戦争が残した傷跡は表面上は消えても深いところで消えず、変形して育っていく。血を見るのが苦手なので戦争映画が苦手なのは生理的な苦手さが先に立ってしまう、というのもあるのだけれど個人的に戦争の悲惨さを最も強く感じるのはこういう、普通の人たちが巻き込まれていってしまう話だ。
収容所での生活の中で、窮地に追い込まれた人間のずるさや、酷薄さが浮かび上がる。主演の三人以外は他の出演者が何役かを演じ分けているのだが、役の切り替わりが激しいことで他の人々を「個性」と認識させずある意味三人だけが浮かび上がってくる感じがする(←このへんはかなり観る人によって印象が違う気がするけれど)。他の出演者を群集に置き換えることで、三人の(特に弥三郎とクラウディア)孤独が際立つイメージ。収容所のシーンで時々打ち鳴らされる鐘の不協和音にびくっとする。
これで主役が暗く悲嘆にくれればかなりやりきれなさだけが残ったと思うのだけど、蔵之介さんが持つ透明な明るさがそれを救っている。あと、斉藤由貴ちゃん…彼女ってそう感情をこめて台詞を読んでいる感じはしないのだけど、今回一番泣かされたのは彼女にだったかもしれない。最後に日本で彼を待っている妻がいることがわかり、そしてずっと日本人であることにこだわり続けたことを知っているクラウディアは彼を日本に返すことを決意するのね。「人の不幸の上に立った幸せを築くことは出来ない」と。もう会うことはない、と思いつつ彼を駅に見送るシーンに涙が止まりませんでした。叫ばなくても、悲嘆しなくても、哀しみは表現できるのだな、と。
最後に元になったNHK特集の弥三郎さんと久子さんの再会シーンがスクリーンでかぶる。泣かされたけど、ちょっとこれはずるいかな(^^;)。
あと、高橋恵子さんは巧い女優さんだと思うのだけど落ち着きがありすぎて、個人的な意見ではちょっと今回はミスキャストかな、と。妻というより、ちょっと母に見えてしまうのよ。

弥三郎さん、クラウディアさん、久子さん共に80代で健在で初日には弥三郎さんとクラウディアさんが揃っていらしていたとか。
去年は再演もの以外のヒットが少なかったんだけど、2006年は今まではずれなし(一つは去年からの『クロノス』だけど)…幸先いいスタートです。

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