« ちょっとだけ。 | Main | やらなきゃいけないことがいっぱいあるんだけど »

May 24, 2006

美しき運命の傷跡

トリコロール三部作などの監督、キシェロフスキの遺稿を映画化。監督のダニス・ダノヴィッチ、「ノーマンズ・ランド」は観たかったのに観られなかった。
出演 エマニュエル・ベアール カリン・ヴィアール マリー・ジラン キャロル・ブーケ 他

なんか、雨が印象に残った。長女が子供を遊ばせているときに降る雨、三女がぬれて歩く雨、この映画の中に降る雨は強くはないけれど、容赦なくやるせない気分をかきたてる。その時はそれほど感じなくても、だんだんとまつわりついて寒さがしみてくるような、そんな雨だ。

父親を不幸ないきさつでなくした三姉妹。夫の浮気を疑い、後をつけずにはいられない長女(ベアール)、引っ込み思案で孤独な日々を送る次女(ヴィアール)、大学教授と不倫恋愛中、でも相手の態度に変化を感じて悩む三女(ジラン)。三人の母親は声をなくし、郊外の療養所に入院しているが、見舞いに通うのは次女のみ。それぞれがそれぞれの愛に問題を抱え、それぞれの想いに苦しんでいる。

久々に観た「いかにもフランス映画」 三人それぞれの物語を観るものにむき出しで提示し、あとは勝手に考えてね、と置き去りにする。専門家の映画評は、「愛と癒しの」とか「愛と再生の」とかいうのが多いんだけど…え?これって癒しなの?救いなの?……そうは思えなかったんだけれども(汗)。というか、救いになりうるか?みたいな展開になって、たぶんアメリカ映画だと涙と愛に満ちたハッピーエンドに直結するんだろうけれど、それを期待してみると最後のところで見事なまでに置き去りにされる、と思う。かといって救いがない、と言う感じでもないのね。三人とも客観的に幸せとはいえない状況ではあるのだけれど、どことなく甘美な不幸に浸っているようにも思える。「彼女達の問題は描かれているが解決に至ってない」みたいな意見もあったけど、別に解決しようとは全然意図してないと思う。キシェロフスキはトリコロールの青と白と二作をみたけれど、どちらもすっきりと終わってたわけではないし。

登場する女たちは、母親も含めて極めて主体的。男性の登場人物はそれぞれいい味を出しているのだけれど、彼女達の前には線が細く、こ狡く、生命力が弱く見える。エマニュエル・ベアールは期待通りの存在感と女っぽさだったけど、びっくりしたのはマリー・ジラン。生き生きと全身の表情豊かで可愛らしくて、初めて見る女優さんだったので家に戻って調べたら30代でお子さんもいると知ってびっくりでした。てっきり20歳前後かと。
個人的にはカリン・ヴィアール演じる次女の臆病な割に妙に突っ走っちゃう滑稽さに親近感を覚えたりもしたのだけれど(苦笑)。

「かもめ食堂」とは別の意味で妙に後を引く映画だなあ。原題は「L’ENFE(地獄)」…どこをどうやったらこの邦題になるんじゃ?

公式サイトはこちら

|

« ちょっとだけ。 | Main | やらなきゃいけないことがいっぱいあるんだけど »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/76834/9934494

Listed below are links to weblogs that reference 美しき運命の傷跡:

« ちょっとだけ。 | Main | やらなきゃいけないことがいっぱいあるんだけど »