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May 29, 2006

米原万里さんが亡くなりました

米原さんの名前をはじめて知ったのは、まだたぶん新入社員のとき。上の人がロシア関係で、お役所がらみの大きな仕事をするときに、米原さんが役所側でお願いした通訳さんのリストのトップに入っていて。私が持っていったファックスを上司がちらりと見て、「おおっ米原万里か~日本一のロシア語通訳なんだぜ、この人」と言いました。
私自身は米原さんと仕事上で関わる機会はなかったけれどそれがずっと印象に残っていて、数年後に「不実な美女か、貞淑な醜女(ブス)か」が文庫化された時は嬉しかった。
通訳さんやガイドさんとは仕事上長く関わっており、彼女達から学んだり可愛がってもらっていたこともあって、その第一人者である彼女の文章は仕事の上からも、単純な好奇心としても面白かった。やや斜めな語り口がこころよく、そしてその場が見えるかのように的確にその場面を切り取っていた。
すごい通訳さんの一つの条件は、事務的な通訳であっても通訳する相手の「色を出せる」ことなのだと聞いたことがある。長い間行動を共にする専属通訳であるならまだしも、様々な国際的場面を渡り歩く職業通訳の人にとって「その人の色を出す」までになるには鋭い観察力と相手の信頼を得るだけの説得力が必要だと思う。インタビューの通訳をするとき、相手に「この人に私のことがわかるのか?」って不安な思いをさせないくらいの。
米原さんの書く文章は淡々としつつ、それでいて生きた人間が描かれていた印象がある。最近はテレビでお見掛けすることも多かったけれど、その印象は変わらなかった。

56歳 まだまだ通訳ガイド業界では現役の年齢なのに。
日々いろいろなことが起こる世界情勢の中、もう少し彼女の文章を、言葉を読んでいたかった、と思う。


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Comments

こんばんは。珍しく人様のブログにおじゃましてみました。米原万里さんの訃報、こちらに来なかったら知らないままだったかも。通訳としての力量は伝え聞くだけで、私には計り知れないのですが、著作から伝わってくる日本人離れした論理性とか見識の高さとかユーモアとか…こういう人がいるんだなあ、と。積極的に動向を追いかけるファンではないけれども、視界に入ってくれば非常に気になる存在の方だったので、早世は残念です…。

Posted by: 赤毛のアント | May 31, 2006 at 12:21 AM

こんばんは。
残念ですね。「国際人」と自称他称される方はたくさんいるなかで、日本とロシア語圏両方に対して、いい意味での距離感と愛情が感じられるスタンスを持ち、それをわかりやすく表現できる方だったと思うので。
わたしも全部読んだり、追いかけるファンだったわけではないのです。「気になる存在」っていうのは言いえて妙ですね。
いつも賛成かどうか、は置いておいて、いろいろな事柄において彼女の意見をちょっと聞いてみたい、というか。

Posted by: EM/蒼@家主 | June 01, 2006 at 12:03 AM

ちわっ。

私、万里。
元気ですぅ。
こっちにきてすっかり病気も治って。

いま、読みのこしの、本、セッセと読んでます。ニッポンで評判のカマラゾーフも。。ええ、もちろん、ロシヤ語で。

万里訳、を再来年あたり、出版してもらいますゎ。 亀山訳なぞ、蹴散らしマッす。

買ってね!
             Mari

Posted by: 古井戸 | December 23, 2007 at 08:36 AM

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