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August 06, 2006

HS06@シアターコクーン

バレエダンサー服部有吉くんが自身が所属する(というよりしていた。今夏カナダのアルバータバレエに移籍)ハンブルクバレエ団の団員と来日、東京バレエ団の首藤康之さんを招いてのコラボレーション企画。

服部くんを観よう、と思ったのは実はけっこう小林十市さんのバレエダンサーとしての舞台を見逃した、という後悔がベースにあるような気もする。そうバレエに詳しいわけでもないので、おそらくダンサーとしてはタイプも違うのだろうし、海外のバレエ団で活躍する日本人、というだけで一緒にするなよーっとご本人やファンの方たちは思うのだろうが。
もう一つの理由としては分野が違う人たちが集まって何かをやる、という舞台やそれを企画しようとする人たち自身に非常に興味がある、ということがあるかもしれない。今回の相手は同じバレエダンサーの首藤さんだけど、実は昨年服部くんが宝塚の人たちとのコラボレーションで、「藪の中」「R・ハッター(祖父でもある服部良一氏の作品をモチーフにしたもの)」をやっていて非常に観たいと思ってチケットをとったものの、どうしても外せない仕事が入ってしまい泣く泣く妹に行ってもらったのだ。宝塚のファン、というわけではないけれど、バレエと宝塚、という組み合わせに非常に興味があったから。(余談だけど、典型的なクラッシックバレエと宝塚、ってどちらかというと私としては苦手な分野。群像劇や脇役フェチの人間なので、主役にフォーカスした作品はどうも入り込めないのだ。)期待通り面白かったらしい話を妹に聞きながら、次の舞台は絶対行くぞ、と先行予約でチケットを確保した今回の公演。

舞台はニ幕に分かれる。
一幕目は 「HOMO SCIENCE」 舞台は近未来(?)のロボット工場。何のセットもない、無機質な空間の中に最初はロボットが一台。上からクレーンで次々とロボットが降ろされてくる。金属的な、テレビゲームのような音楽。最初は同じように単調な動作をくり返していたロボット達に異変が生まれる。一体のロボットが明らかに違う動きをし始め、それに巻き込まれた他のロボット達の動きも変わっていき、バランスが崩れ、やがては何体かのロボットが壊れ、騒ぎの元になったロボットは人間の手により撤去される。この騒ぎに巻き込まれずに残ったロボットが一体。やがて上からクレーンで新たなロボットが降ろされて来て、また同じように実験が始まるのを予見させて幕が下りる。

ロボットとしての演者の動きは流れるようなイメージの普段のバレエとは対極的に、ぎごちなく、体温がなく、まさしく「機械的」。大きな跳躍やリフトでの感動とはまた違うのだが、指先の一本一本に神経が通っているからこそできる機械的な動きに、何だか「バレエダンサーってすごい」としみじみと感動する。暴走を始めるロボットに首藤さん…確かにキーパーソンではあるのだけれど、特に主役というのではなく、あくまでベースの動きは他の出演者と同じロボットの動き。ある意味、この「主役でないっぷり(←変な日本語)」がまたいいと思うのだ。今まで見てきたバレエってどちらかというと「私が主役です」系のヒーロー出来レースみたいな感じが多かったのね。しかしながら、これはあくまで「主題」が「個人」に勝っている感じで、首藤くんもまたそれを尊重して、狂言回しに徹している感じが好もしかった…これはあくまで私の主観だし、不快に思う人もいるのかもしれないけれど。単一の動きをしている団体がひとつの異分子の出現でバランスを崩し、予定外の現象が起こり、新しいものが生まれそうになるけれど、結局は異分子は淘汰され、新たな制御された分子に取って代わられる…このテーマはいろいろなものに置き換えられるし、観ている方はそれを何に当てはめても、ひとつひとつの動きをどういう風に解釈も出来る、それが面白かった。「バレエ」の枠組みにとらわれず、なおかつその枠の大きさを感じた舞台。「大好き」な作品ではないのだけれど、「観てよかった」作品ではある。

第二幕目が「ゴーシュ」。かの有名な宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」を翻案した作品。オーケストラをバレエ団(?)に置き換え、上手く踊れないゴーシュは先生には怒られるし、仲間も困らせてばかり。うちに帰ってから猛練習を開始する彼に、猫、鳥、タヌキ、ネズミと様々な珍客が訪れる。最初は邪魔に思っていたゴーシュだが、彼らに無理やりつき合わされる羽目に…。

もう、これは本当に楽しかった~。実は小さい時に家に絵本があって、絵は(子どもには)怖いし、ゴーシュはすごくわがままで嫌な奴に見えて好きじゃなかったのだけど、2002年のキャラメルボックス「賢治島探検記」の中の「セロ弾きのゴーシュ、ゴーシュ弾かれのセロ」がとても楽しかったので、とっても楽しみにしていたのだけれど期待に違わず。本来一幕目も出演するはずだった服部くんは体調不良、ということでニ幕目のみの出演で主役のゴーシュ。一幕目に彼を入れたバージョン、というのを観ていないのでなんともいえないが、彼のゴーシュは外せないだろう(ん?↑と言ってることが違うって?まあいいじゃないか)。意外と原作に忠実な、それぞれの動物のストーリーと特性を生かしたダンス…でも原作知らないとわからないシーンも多々あると思われ(^^;)。小柄な身体で変則的なリフト(あえて、よっこらしょ、と持ち上げたり、乗られてしまった、といった感じのリフト)とジャンプ。体調悪いところに負担が大きそうだな、と思っていたら翌日は結局ニ幕は休演だったらしい。同行者はやはり踊りにいつものキレがなかった、とは言っていたんだけれど私は初見のせいか、楽しんで感心して終わってしまったですよ。

演出家、振付師としてみると既存の枠に囚われない、演劇の目、脚本家の目、といったものを持っている人だと思う。まだ28歳なんだよねえ。前回の「藪の中」を見られなかったのは返す返すも残念だなあ。
次作はガーシュインの「ラプソディ イン ブルー」だそうで…大好きな曲なのでどう料理してくれるのか今から楽しみ。首藤くんの舞台も、また観てみたいなあ。

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