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March 15, 2007

となり町戦争@三崎亜紀

非常に現実感がない、だからこそ現実感があるともいえるような話。
要は普通の街に住んでいる、普通のサラリーマンがある日読むものがないからと町内報を見ると、「となり町との回線のお知らせ」が載っている。街は全然戦争の気配はしないのに、町内方に載る戦死者の人数は確実に増えていって…ついに、町役場からある日町民の義務として相手の町の調査任務を命じられ、ついには役場の女性香西さんととなり町に住んで潜入捜査まですることになるのだが、いっこうに戦争の姿は見えてこない…。

最初は「実はこの戦争のしかけにはこんな裏があった!」という活劇小説かな、って思ってたんですよ。そうじゃないのね。何か、表面上は変わらずに平和な町の生活の中に、ちらっ、ちらっとよぎる戦争の影。あくまで数字上は増えていく死者。で、結局ある日突然戦争は終わる…たくさん出した犠牲を実感することもなく、ただのイベントか何かのように。まあ、要はオチがない、と言えないこともないわけで結構この小説ダメ、という人の感想はこの落ちがないことでの不完全燃焼っぷりを上げている人が多かったのね。

個人的には、むしろオチがないからこそ印象的だったかな。何かね、この訳も分からず巻き込まれ、でもあくまで何となく加担してしまい、でも今ひとつ最後まで自分が何をやったかわかっていない、という状況は現在の私達の国や、市や町の関わり方と似ているような気がする。例えばイラクとの戦争だって、現実味全くなしに結局は私達がお金を出しているわけだし、加担している形になっているわけだから。でも「あなたは戦争をしていますね?」と聞かれたらすごく怪訝な顔で「はぁっ?」とか言っちゃいそうなわけだ、自分も含めて。
もちろんこの小説の主人公はもうちょっと深く戦争に関わらされているわけだけど、まるで町内の草むしりに参加するような感覚で参加しちゃうわけですよね。何かね、この現実感希薄だからこそ巻き込まれていく怖さ、というのを妙に深く感じた本でした。
好き嫌いはともかく、何となくもやもやが残ってそれに引っ掛かっていろいろ考えたりする、という点ではおススメ。
他の、「戦争」を取り上げた本は時代を超えて、作者の語りたい方向が何となく見えているからね。三崎さんはある意味、「結果」よりも「火種」を意図した本が書きたい人なのかも。

今、江口洋介と原田知世で映画化されていて、前の上司が大絶賛だったので見る方向で検討中なんですが、何と舞台化もされるのね。しかもキャラメルの多田君とあおちひ@青山千洋ちゃんがでて、あおちひは何と原田知世と同じ役。主演の多根周作くんも巧いひとだし、個人的には原田知世よりあおちひの方が香西さんのいめーじには近いのでこっちもかなり楽しみ。


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ロングセラー!40万部を突破!「 となり町戦争 」上演決定 原作は第 17 回小説すばる新人賞受賞作「 となり町戦争 」三崎亜記氏のデビュー作である。 40 万部を超えるロングセラー作品であり、 見えない戦争を描いた衝撃作である。 *単行本・文庫の合計。2月現在。 【原作の衝撃】 五木寛之氏や 井上ひさし氏から賞賛をうける 。 さらに翌 20 05 年上半期 の直木賞にノミネート。 選にもれるが、新人の直木賞ノミネートは本作品の話題性の高さを物語る。 そして、 2007 年2月映画「 となり町戦争 ... [Read More]

Tracked on March 21, 2007 at 10:35 PM

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